有機農業の技術確立を進める全国ネットワーク
新しい時代の農のあり方として有機農業への社会的関心と期待は高まっています。30年余の地道な取り組みを踏まえて、有機農業はいま飛躍的発展の好機を迎えています。有機農業が大きく発展することができれば、日本の農は変わり、日本の社会も救われていくでしょう。しかしそのためには有機農業自身が技術の面でいま一歩の前進、いっそうの技術深化が不可欠だと考えます。個々には優れた技術実践はあるものの、それは有機農業生産者が共有する普遍的技術とはなりきれておらず、新規参入の希望者にとっても有機農業の学びやすい仕組みは作られていません。また、現場と結びついた技術開発の体制も作られてはいません。
こうした状況認識を踏まえて、「農を変えたい! 全国運動」は、その重要な実践プロジェクトとして「有機農業技術の確立」の課題を取り上げ、この課題の追求を志す人たちによる全国ネットワークを立ち上げることにしました。有機農業の技術確立にむけた全国ネットの構築は有機農業運動の長年の懸案でしたが、現実にはさまざまな難しさがあって実現されていません。しかし、この課題をいつまでも棚上げにしておくことはできません。「農を変えたい! 全国運動」にこの課題を十分推進できる力があるなどとは考えてはおりませんが、どこかのセクターが呼びかけて不十分な体制であっても実践の口火を切ることが必要ではないかと考えました。
今回の全国ネット構築への呼びかけを一つの契機として、有機農業技術の確立を進めたいと考えておられる幅広い方々がここに参画され、文字通り全国ネットワークの名にふさわしいイニシアティブある連携活動の体制が組み立てられていくことを期待しています。
全国ネットの呼びかけにあたって次の諸点を一応の確認事項とします。
有機農業の技術確立についての基本的考え方
- 農業は基本的には自然の恵みとして、また、いのちの育みとしてあることを認識し、自然と農業の共生の視点を技術論の基礎におきます。
- 作物・家畜のいのちの営みの生理生態的仕組みと種、品種等の特質の基本点をきちんと踏まえます。
- いのちの拠点としての土壌の重要な意義を認識し、その仕組みを理解し、安定的な活性化への技術を組み立てていきます。
- 作物・家畜・土壌・地域の自然をつなぐ能動的な要素として微生物や小動物の世界の重要性を認識し、その安定した活用への技術を組み立ていきます。
- 地域の風土的条件を重視し、それを恵みとして活かしていく技術方向を重視します。
- 地域農業の歴史的蓄積を評価し、そこから学んでいく姿勢を堅持します。
技術確立の方向性
- 食べものとしてのおいしさ、栄養価などの食べものとしての値うちの向上を追求します。
- 生育の安定性、圃場や作付け体系における落ち着きの良さなどを重視します。
- 総合的な意味での生産性の向上と経営の安定化を追求します。
- 圃場内、経営内、地域内循環の促進を重視します。
- 生産者の仕事の楽しさの向上を重視します。
- 地域の自然との共生を追求します。
- 地域農業が培ってきた伝統的あり方の保全を積極的に評価していきます。
- 小規模、兼業でも成り立つマーケティングのあり方を追求します。
技術確立推進運動の進め方
- 特定の権威に依存せず、是々非々を旨として、良いものは良い、まずいものはまずいと率直に評価していきます。
- さまざまな理論はとりあえず仮説として取り扱い、絶対化せず、しかも現実に役立つ理論形成に努めていきます。
- 技術の評価にあたっては客観性を重視し、あわせて結論を急がず、長期的視点からゆっくりとした評価に努め、なによりも現場での検証、交流を重視します。
- 農法の違いによるいがみ合いを避け、相互の交流と学び合いの機運を育てていきます。
- 技術形成の場は現場だということをつねに念頭におき、技術を作り育てる農業者の力を広げていきます。
- 技術確立の場にも、調理技術者、加工関係者、流通関係者、地域関連業者、消費者等が適切な形で参画できるような仕組みをつくります。
- 技術確立の成果、失敗の経験などについて双方向的な情報流通の仕組みをつくり、活発なコミュニケーションを形成していきます。
役員体制
| 役職 | 氏名 | 所属 |
|---|---|---|
| 代表理事 | 西村 和雄 | 有機農業技術会議 |
| 副代表理事 | 木嶋 利男 | 環境科学総合研究所 |
| 副代表理事 | 稲葉 光國 | 民間稲作研究所 |
| 副代表理事 | 中島 紀一 | 茨城大学農学部 |
| 副代表理事 | 本田 廣一 | 興農ファーム |
| 理事 | 明峯 哲夫 | 農業生物学研究室 |
| 理事 | 池野 雅道 | 愛農流通センター |
| 理事 | 片野 學 | 東海大学農学部 |
| 理事 | 岸田 芳朗 | 岡山大学農学部附属山陽圏フィ-ルド科学センタ- |
| 理事 | 佐伯 昌彦 | マルタ |
| 理事 | 澤登 早苗 | 恵泉女学園大学人間社会部 |
| 理事 | 野中 昌法 | 新潟大学農学部 |
| 理事 | 橋本 力男 | 堆肥・育土研究所 |
| 理事 | 長谷川 浩 | 東北農業研究センター |
| 理事 | 原川 達雄 | 自然農法国際研究開発センター農業試験場 |
| 理事 | 萬田 正治 | 萬田農園 |
| 理事 | 山下 一穂 | 山下農園 |
| 理事(事務局長) | 藤田 正雄 | 自然農法国際研究開発センター農業試験場 |
| 監事 | 佐古 康徳 | 秀明自然農法ネットワーク |
| 監事 | 本野 一郎 | 兵庫県有機農業研究会 |

